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利用したHashiCorpの製品

TokyoGasカスタマーストーリー

AzureとAWSのマルチクラウドな内製開発環境をHCP Terraformで統合管理

Web会員サービス「myTOKYOGAS」を中心に内製開発を推し進める東京ガスでは、マルチクラウド環境を効率的かつ安全に運用する必要がありました。コミュニティ版Terraformを経て、現在はHCP Terraformを導入し、State管理の一元化、権限管理の強化、運用の可視化を実現。組織やツールを超えてIaCを実践しています。

  • GUIで履歴の可視性を向上
  • DX銘柄に多数選出
  • チーム、会社、ツールを超えてTerraformが共通言語に
  • Microsoft AzureとAWSのマルチクラウド環境

TokyoGas

東京ガス株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 CEO 笹山 晋一)は1885年創立、エネルギー・ソリューション、ネットワーク、海外、都市ビジネス事業を展開し、脱炭素化やデジタル化が進む社会に向けてDXを積極的に推進している。Web会員サービス「myTOKYOGAS」は、料金確認や契約手続きなど生活者との主要なデジタル接点として機能し、継続的な改善と新機能追加を通じて利便性向上を図っている。

デジタル活用で事業を拡大する東京ガス、顧客接点「myTOKYOGAS」をリニューアル

文明開化の明治時代、ガスで街と暮らしを照らすところから始まった東京ガス。近年の電力自由化・都市ガス自由化などといった事業環境の変化を受けて、生活者に選ばれるためにサービスの品質・スピードを向上させる必要性が高まっています。さらに、世界的な脱炭素の潮流を背景に、ガス・電力の提供にとどまらず、エネルギー関連ソリューションの高度化に取り組むほか、地域を越え世界に向けて事業を展開しています。こうした市場・事業環境の中で、東京ガスは先進的なデジタル活用を事業変革の柱として位置づけており、その取り組みは経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX銘柄」に複数回選出されるなど、高く評価されています。

東京ガスにおけるDXの象徴となるのが、会員サービス「myTOKYOGAS」です。当初は、ガス・電気の使用量と料金や契約内容などをWeb上で情報提供することから始まりました。そこから検針票ペーパーレス化するため、2023年11月にリニューアルしました。システム構成も、フロントエンドの内製化から始まり、バックエンドのマイクロサービス化など大きく進展しています。

AzureとAWSのマルチクラウド構成にコミュニティ版TerraformでIaCを導入

myTOKYOGASのシステム構成としては、フロントエンドとバックエンドからデータを取得し、アプリケーション向けにデータを加工するBFF(Backends For Frontends)をMicrosoft Azure(以下、Azure)上で運用しています。さらに、BFFに抽象化レイヤーを設け、ドメインを整理しながらシステム改修を進めていったことにより、そこで整理されていったドメインを少しずつマイクロサービスとして切り出しています。そのマイクロサービスの基盤はAWS(Amazon Web Services)上に構築しています。東京ガスの青木翔平氏は、「フロントエンドはスケジュールの都合から弊社での利用実績が多い、Azureを選択しました。一方で、マイクロサービス基盤はゼロから設計できる領域だったため、外部要因を踏まえて検討を重ねた結果、要件に合うAWSを選択しました」とマルチクラウドに至った経緯を説明します。

myTOKYOGASフロントエンドの内製開発を皮切りに、東京ガスはコミュニティ版Terraformを導入しました。TerraformはIaCのデファクトスタンダードであり、AWSやAzureに限らず、当グループが利用している全てのサービスを統合的に管理出来るのが導入の決め手です。

開始当初は、GitHub Actionsと組み合わせたCI/CDで運用していました。しかしコミュニティ版の場合、チームでのState管理が複雑化してしまう点や、細かい権限設定ができずに誤操作で構成変更ができてしまう点、さらにはローカル実行できてしまうため履歴が追えなくなるなどの課題が浮上してきました。また、開発規模が拡大するにつれ、チームごとにTerraformコードの書き方に差異が生じ、プラットフォームチームにおけるTerraformの運用負荷も高まってきたことから、HCP Terraformへと移行することにしました。

HCP TerraformでState管理を一元化、履歴の可視性も向上……ツールや組織を超えた“共通言語”に

HCP TerraformであればHCP(HashiCorp Cloud Platform)によるマネージドな実行環境となるため、State管理が一元化して破損するリスクがなくなり、バージョン管理やロックも自動で制御されます。もちろん、ローカル実行のリスクも排除できます。また、PlanやApplyの履歴が可視化され、レビューも簡単になります。役割ベースでのアクセス制御が可能なことから、実行権限を適切に制限できて、誤操作を未然に防ぐなどセキュリティ運用も高度化できます。

青木氏は「コミュニティ版ではGitHub Actionsの運用が大変だったため、HCP Terraformに移行した際、GUIの見やすさに感動しました。誰が、いつ、何を実行したのかがすぐに分かるので、レビューしやすく、安心して運用できるようになりました」と話します。

同 長島岳紘氏はHashiCorpのサポート対応について、「問い合わせに対するレスポンスが早くて驚きました。こちらの状況を理解したうえで具体的な解決策を提示してくれるので、とても助かっています。HCP Terraform導入後は、困った時もすぐに相談できる安心感があります」と述べています。

また、HCP Terraformに移行することでコードの標準化も進みました。今では、クラウドのインフラ構築だけでなく、監視ツールDatadogのアラート設定もTerraformでコード化しています。また、バックエンドのシステム運用を担うグループ会社東京ガスiネットとの間でも、Terraformを共通言語とすることで、組織の境界を越えてインフラを可視化し、共有できるようになりました。

HCP Terraformを採用して得られた成果:

  • マルチクラウドにおける管理の一元化と標準化
  • State管理の自動化による運用負荷軽減
  • インフラの可視化と運用透明性の向上
  • インフラ周辺ツールにもIaCを展開
  • チームと取引先、組織を超えたコラボレーションの円滑化
  • レスポンスの早いサポートによる迅速なトラブル解決

HCP Terraformで全社的な「インフラの民主化」へ 開発者が価値創造に集中できる環境に

東京ガスでは、マルチクラウド環境におけるHCP Terraformによるインフラ管理の効率化と可視化を実現したところですが、次のステップとして、より大きな開発エコシステムの形成とセキュリティ強化に向けた準備を進めています。

直近では、セキュアなアクセス管理に向けて、検証と準備を進めています。現在の環境に加えて、開発者や運用担当者のアクセス管理のために、HashiCorp Boundaryの活用も視野に入れ、より安全で効率的な運用体制を整えていこうとしています。

長島氏は、「HashiCorpを通じてインフラ環境のモダナイズや民主化を進めていけたら」と展望を語ります。青木氏は「IaCというものは、内製化を進める事業会社のPlatform EngineeringチームやSREチームでこそ、導入する意義があると思います。IaCやTerraformは、人が入れ替わってもサービスを維持できる仕組みとして必要不可欠なものです。DXのために内製開発を推進したい事業会社へ、導入をおすすめしたいです。HashiCorp製品を利用している事業会社のコミュニティもありますので、日本中のHashiCorpユーザーたちとともに情報やノウハウを共有し合いながらチャレンジを前に進めていきたいです」と意気込みます。

ソリューション

東京ガスはコミュニティ版TerraformからIaCを進めてみたところ、State管理や権限管理、履歴の可視性といった運用課題に新たに直面しました。しかし、HCP Terraformへの移行により、マルチクラウド環境の統合管理、Stateの一元化、RBACによる権限管理、履歴の可視化を実現。Terraformコードの標準化も進み、チームや委託先企業を含めた組織横断のIaC運用が可能になりました。

担当者

  • 青木翔平氏 リビング戦略部 デジタルプロダクト推進グループ(2026年3月時点) 東京ガス株式会社

  • 長島岳紘氏 リビング戦略部 デジタルプロダクト推進グループ(2026年3月時点) 東京ガス株式会社

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