利用したHashiCorpの製品
カスタマーストーリー
HCP Terraformでデジタル基盤構築を高速化、セルフサービス化と運用高度化も実現
HCP Terraformでデジタル基盤構築を高速化、セルフサービス化と運用高度化も実現
NTTドコモビジネスで、AIやIoT、産業・地域DXといった重点分野における新規ビジネス創出や、その基盤となるプラットフォームの構築・運用を担うソリューションサービス部デジタルイノベーション部門では、クラウドネイティブな基盤提供のスピードと品質向上に取り組んでいる。TerraformによるIaC化とHCP Terraformの採用により、構築作業の自動化やセルフサービス化を実現し、各部門が「必要なときに即時に環境を利用できる体制」を整えた。今後は、AIを活用した運用高度化やガバナンス強化にも取り組み、より柔軟で安全なプラットフォーム提供を目指している。
- NTTグループの法人向けICT事業を担う
- 産業・地域DXのプラットフォーマーへ
- AI-Centric ICTプラットフォ―ムを展開
- インフラ構築作業が8時間からほぼゼロへ
- インフラのセルフサービス化を実現
- 証跡(エビデンス)の自動化
NTTドコモビジネス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 社長執行役員 CEO 小島克重)は、NTTドコモグループの法人事業を担う中核企業として、ICTサービス・ソリューション事業および国際通信事業を展開している。通信事業で培った技術力と全国・海外に広がるサービス基盤を強みに、企業や自治体のデジタル変革を支援。産業・地域DXのプラットフォーマーとして、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、デジタルソリューションを組み合わせた価値提供を通じ、持続的な社会の発展に貢献している。
新しい時代を戦えるデジタル基盤へ
1999年に誕生したNTTコミュニケーションズ(現NTTドコモビジネス)は、グローバル、ソリューション、データセンター、クラウド、セキュリティなど、未知なる領域への挑戦を繰り返してきました。2025年7月にはNTTドコモビジネスへと社名を変更し、NTTグループで培ってきた資産や技術をワンストップで提供する、法人向け総合ICT事業を担う企業へと再定義されました。従来のネットワークや通信インフラにとどまらず、より大きなスケールで顧客価値を創出するソリューション事業を展開しています。目指すのは「産業・地域DXのプラットフォーマー」として、自立分散型社会の実現に貢献することです。
IoTやAIなどの最先端技術を効果的に活用し、さまざまなプレイヤーと新しいビジネスを生み出すためには、クラウドを中心としたデジタルプラットフォーム(基盤)が欠かせません。本番環境はもちろん、デモやPoCの段階から迅速に環境を用意できることが求められます。同社のデジタルイノベーション部門は、最先端テクノロジーを活用した顧客とのビジネス創出と、それを支える基盤となるプラットフォームの構築・運用を両輪で担う組織です。オンプレミス中心の時代から長年培ってきた基盤構築の知見を継承しつつ、近年ではクラウドネイティブなアプローチへとシフトしています。
インフラ構築作業を自動化も、スピードアップを阻害する新たな課題が
NTTドコモビジネスでは、数年前から全社的な共通プラットフォームの構築に取り組んできましたが、その中で「いかに構築期間を短縮できるか」が模索されていました。スピード感が求められているのに、インフラ構築に「待ち」の時間が生じるままでは、ビジネスの失速につながりかねません。同社は、インフラの設計から構築まで従来なら1.5ヵ月はかかっていた作業を、1営業日で払い出しまで完了できるようなソリューションを求めていました。クラウドの管理画面から一つひとつ手作業で設定するような仕組みでは、このスピード感は実現できません。また、案件ごとに個別最適で構築する体制のままでは、後の運用負荷を高めることにもなります。構築から運用までを見越した効率化が求められていました。
そこで着目したのが、HashiCorp Terraformです。まずはコミュニティ版を導入し、プラットフォーム構築の自動化から取り組みはじめました。IaCにより構築作業を大幅に短縮し、再現性の高い環境を安定して提供できるようになりました。途中でパラメーターを変更しても、差分だけを正確に反映できる点や、構築エラーが明確に把握できる点は大きなメリットでした。
一方、利用し続けるうちに、コミュニティ版の限界も見えてきました。たとえばコミュニティ版では、Terraform上のステートファイルを自社で管理する必要があります。そのため、ステートファイルをSharePointなどの外部ストレージに手動でアップロードして保管していました。また、実行環境が特定の個人PCなどに限られる点も課題となりました。環境構築のさらなるスピードアップとして、利用者がオンデマンドでインフラを払い出せるセルフサービス化の実現を目指すなかで、これが大きな障壁となってきました。谷口浩一氏は「セルフサービス化には、API連携や高度なガバナンス管理ができるプラットフォームが必要でした」と当時を振り返ります。
HCP Terraformでインフラ構築作業はほぼゼロ、API連携でセルフサービス化も
コミュニティ版の利用開始から1年が過ぎた2022年、同社はHCP Terraform(当時Terraform Cloud Business)へと移行しました。マネージドサービスにステートファイル管理が含まれるため、自社での管理が不要となる点、APIを通じて社内システムと連携でき、セルフサービス化が実現できる点が大きな決め手となりました。
ちょうどその頃に新卒で入社した鈴木颯太氏は、キャリアのスタート時点でインフラ構築をIaCで自動実行することを学んだ「IaCネイティブ」です。IaCに慣れた後に従来型の手動構築作業を経験した際は、証跡(エビデンス)取得のためとはえ、画面キャプチャ作業があまりにも多いことに驚いたといいます。「これ、全部Terraformのステートファイル管理で代替できるのでは?」と、当時の心境を振り返ります。
現在、同社では社内の申請フォームとHCP TerraformをAPI連携することで、各利用者がインフラを自動で払い出せる仕組みを構築しました。標準的な共通プラットフォームであれば、管理者工数のほか、設計・構築工数もほぼゼロとなるセルフサービス化を実現できています。
HashiCorp HCP Terraformを採用して得られた成果:
インフラ構築時間を大幅に短縮、管理者工数と設計・構築工数がほぼゼロに
ステートファイルをクラウドに集約し、証跡(エビデンス)を自動化
API連携で申請フォームからのセルフサービス化を実現
IaC拡大の先にはAIも採り入れてDevOpsやポリシー管理の高度化へ
現在は、年間数十件程度の基盤構築をTerraformで実施していますが、今後はこの実績を倍に拡大し、IaC化を展開していく方針です。
インフラ構築自動化の先に見据えるのは、AIも活用した“運用の高度化”です。武田裕弘氏は、「AIは弊社の重点領域でもありますので、AI駆動開発のあるべき姿を描きながら、我々のインフラ業務をどう組み合わせていくか検討していきたいです」と話しています。IaCやTerraform(HashiCorp製品)を軸に、AIを採り入れた新しい運用モデルを模索していく考えです。
加えて直近では、IaCコードが社内のセキュリティルールに準拠しているかを自動でチェックする仕組みの導入を検討しています。将来的には、会社のガバナンスルールをAIに学習させ、SentinelのポリシーコードをAIが生成したり、違反箇所の修正案をAIが提示したりするなど、より高度なガバナンス体制を構想として描いています。
ソリューション:
NTTドコモビジネスでは、インフラ構築・運用を効率化する基盤として、HashiCorp HCP Terraformを採用しました。構築作業の効率化と再現性を高めるだけでなく、社内申請フォームとAPI連携機能を活用することで、セルフサービス型のインフラ払い出しを実現しています。これにより、構築工数の削減と品質向上を両立させ、同社が目指すスピード感のあるサービス提供を支えています。
担当者

武田 裕弘 氏 ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部 インテリジェントIoT部門 担当課長 NTTドコモビジネス株式会社

谷口 浩一 氏 ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部 インテリジェントIoT部門 NTTドコモビジネス株式会社

鈴木 颯太 氏 ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部 インテリジェントIoT部門 NTTドコモビジネス株式会社
