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利用したHashiCorpの製品

Nikkeiカスタマーストーリー

少人数でインフラ保守するからこそIaCとCI/CDで効率的にコード共有

日経電子版や数多くのプロダクト・サービスを提供している日本経済新聞社では、TerraformのIaCでインフラ定義をコード化し、CI/CDに組み込むことでインフラ定義の共有や標準化に役立てています。

  • 日本経済新聞・電子版の購読者数合計は約 235万9257人
  • 2010年3月に電子版創刊
  • IaCで環境間の差異を解消
  • ポリシーチェックでガバナンス強化
  • コード化でインフラ構築ノウハウ共有が効率的に
  • VCS連携でインフラ保守のプロセスを改善

Nikkei

株式会社日本経済新聞社(東京本社:東京都千代田区、代表取締役社長:長谷部剛)は新聞を中核とする事業持ち株会社。雑誌、書籍、電子メディア、データベースサービス、速報、電波、映像、経済・文化事業などを展開している。「日本経済新聞」の源流は1876年創刊の中外物価新報で、1946年に現在の日本経済新聞へと改題した。朝刊販売部数と電子版の有料会員数は、235万9257人(2025年1月時点)。

「HCP TerraformならCI/CDがマネージドサービスとして提供されるため、導入後は社内のパイプラインの解釈を間違えてインフラを破壊してしまうリスクを抑えられるようになりました」

2010年に日本初の有料Webメディア創刊、新たな新聞報道の時代を切り開く

日本経済新聞社は、時代の変化とともに新技術への挑戦を繰り返してきました。インターネットが普及し始めたばかりの1996年には、無料Webサイト「NIKKEI NET」を開設し、朝刊・夕刊から一部の記事を抜粋して掲載。国内ニュースサイトの代表的な存在となりました。また同時に、デジタルデバイスで情報を求める人々が増えていくのを見て、本格的な有料媒体の創刊に向けて動き出しました。

そして2010年、「日経電子版(日本経済新聞電子版)」を創刊します。日本で初の有料課金Webメディア事業となり、新たな新聞報道の時代を切り拓きました。そして、翌年に発生した東日本大震災で、多くの人が情報を求めて各種WebサイトやSNSに殺到したことが、同社のインフラ強化を大きく後押しする形となりました。その頃から、同社ではクラウド活用に本腰を入れ始めます。

AWSやGoogle Cloudの活用が広がるにつれ社内アカウントの数が増え、さらにVCSやオブザーバビリティなど様々なツールにも手を広げるなど、クラウド活用は高度化・複雑化していきました。同時に、チームやプロダクトごとに環境差異が生じるようになり、開発や保守における非効率性や、セキュリティリスクの増加が課題となってきました。

クラウド環境の差異解消に向けTerraform導入へ

新規サービスの立ち上げが続くようになるとAWSのアカウントが増加の一途をたどり、2018年には社内での環境差異の問題がより顕著になってきました。

ちょうどその頃にインフラ担当者として着任した大塚恭平氏は、IaC(Infrastructure as Code)がこの課題の解決策になると考え、まずはコミュニティ版のTerraformでIaCを実践しました。TerraformをCI/CDに組み込んだところ見事にフィットし、環境差異を減らすだけでなく、アプリケーション開発のフローでインフラ管理が可能となりました。この成果を受け、その後もTerraformを利用する流れができました。大塚氏は「他の部署に知見を共有する機会も増え、社内でTerraform活用がどんどん広がっていきました」と当時を振り返ります。

また、インフラ定義をコードに落とし込んだことで、社内でノウハウが共有しやすくなりました。「当初は想定していませんでしたが、他のチームの担当者でもコードを見ることで『こう定義しているのか』と把握できます。コメントから経緯や意図を読み取ることも可能です。ノウハウの共有やコードの再利用が効率的になり助かりました」と大塚氏は語ります。

2019年にHCP Terraformへ移行、ガバナンス強化やコードのテンプレート化も進む

2019年には、商用版であるHCP Terraformへ移行します。コミュニティ版ではTerraform自体の運用が一定の負担となり、CI/CDを自分たちで組み込む必要があるからだといいます。

「HCP TerraformならCI/CDがマネージドサービスとして提供されるため、導入後は社内のパイプラインの解釈を間違えてインフラを破壊してしまうリスクを抑えられるようになりました。Terraform単体でも機能面に不満はありませんでしたが、HCP Terraformには、さらに直感的なわかりやすさや操作性が備わっています。CI/CDパイプラインやマネージドサービスの枠組みで運用がかっちりと決まっているので、新メンバーのオンボーディングもしやすいと好評です」(大塚氏)

また、同社ではHCP TerraformのPolicy Sets機能をガバナンス強化に役立てています。これは、サービスやプロダクトが事前に定義したポリシーに合致しているかを、適用前にチェックする機能です。まだ試験的に部分導入している段階ですが、この機能により早い段階で問題を発見し、修正できるようになります。こうして、開発者に負担をかけずにシフトレフトを実践することが可能となります。

そしてもう一つ、プライベートモジュール機能もチーム間でのコード共有に役立てられています。これはTerraformのIaCコードをテンプレート化して共有できる機能で、インフラの共通化や構築作業の効率化に有効です。

課題

HCP Terraformを採用して得られた成果:

  • チームやプロダクト間の環境差異を解消できた
  • コードを通じてノウハウ共有が効率的に進んだ
  • Policy Setsでガバナンスを強化できた

ソリューション

HCP Terraformで効率的なクラウド運用を

日本経済新聞社ではHCP Terraformを活用することで、少ないリソースでインフラをスケールし、数多くのプロジェクトを支える体制を築き上げることができました。大塚氏はインフラ運用における自身の考えを、次のように述べています。

「弊社のように、少人数でインフラを運用しなければいけない組織は少なくないと思いますが、だからといって一人で全てをやってしまうのは非常に危ないです。Terraformなら設計書のようなものがコードとして残りますが、担当者がいなくなった途端に何もわからなくなってしまうようではいけません。できれば開発者の意図もコードに記録したうえで、プルリクエストを経て同僚からレビューしてもらうなど、関係者間で合意したうえでコードを保守していくようなチームワークが大切でしょう。少人数で回さなければいけないからこそ、効率的かつ、密なコミュニケーションで連携すべきだと考えています」(大塚氏)

ソリューション

日経電子版の創刊以降、日本経済新聞社ではクラウド活用が進みましたが、チームやプロダクトごとに環境差異が生まれ、非効率化やセキュリティリスクが懸念視されていました。TerraformのIaCでインフラ定義をコード化することで標準化を進め、効率化だけでなくノウハウ共有にもつなげています。

Nikkei Partner

  • 大塚恭平氏 情報サービスユニット 株式会社日本経済新聞社

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